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● 宮部みゆき

「長い長い殺人」(光文社)

これは意外なものが主人公になって、彼や彼女の目をとおして、事件を見つめていく手法をとっている。

それはなんと「財布」なのよね。擬人法をとったこの作品が面白さをかもし出していると思う。金は天下のまわりものなんて昔から言われてるけれど、きれいな金、汚い金、どんなお金でも私には関係ないわ、なんてすました気持ちでお財布におさまっている。

この小説はお財布の気持ちになって、その持ち主の感情、行動、会話、お金のながれが事件をあぶり出し、解決へと導いていく。お財布は一個だけでなく、刑事、強請屋、少年、死者、犯人などなど、10個のお財布が出てきて、彼らの目をとおして事件がかかれているのが意外と面白いと思う。

(文/ののこ)

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「心とろかすような−マサの事件簿」(東京創元社)

マサとは、蓮見探偵事務所で飼われている元警察犬で老犬のジャーマン・シェパードのことなのよね。今回はマサの目をとおして事件の顛末を見ていく話なのよね。蓮見探偵事務所の所長浩一郎、長女で女性調査員の加代子、つまり加代ちゃん、次女の高校生糸子こと糸ちゃんたちが遭遇する5つの物語。

さりげなく書かれた、人間模様におもわず人生とは考えさせられることがある。表題の「心とろかすような」では糸子が偶然少女が車のトランクに入り込むのを目撃したことから事件が始まる。

あなたも蓮見探偵事務所に依頼をしてはいかが? きっと解決してくれると思う。

(文/ののこ)

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「あかんべえ」(PHP研究所)

なんとも不思議な物語である。それは幽霊がでてくるから。でも普通の怪談話とは少し違う。

主人公おりんは12歳の時、病におかされ、死の淵をさまよう。三途の川のほとりで不思議な老人と出会い、そこにある、水を少しなめてしまう。それから病が癒えた彼女は不思議な力を得るようになる。両親の開いた料理屋に5人の幽霊の姿を見ることになる。その幽霊たちの力を借り、おりんの家でおこる騒動の真相を探るうちに恐ろしい、過去の事件が明るみにでてくる。

何故、おりんにはその幽霊達がみえるのか、そして、人は心の奥底に自分と同じ感情をもった幽霊をひきつけみることができるのか。

何故か怖い話だけれど、何故か優しさがあるのは、やはり、作者ならではの思いが入っているのではないだろうか。

(文/ののこ)

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